渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
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城へ戻ってからというもの、ガイアスは溜まりに溜まった政務に追われて、執務室にこもっていた。
(こんなはずではなかった……シュドめ、本気で恨むぞ)
ガイアスはこの白亜の城のように、そびえ立つ書類の山に囲まれて、深い溜め息をついた。
国に着いたら、カルデアと大陸一周旅行をする作戦を、本気で考えていたガイアスは、秘密裏に馬や泊まる宿の手配をしていたのだが、予約した次の日に全てキャンセルになっていた。
「はい、追加の書類です」
(……原因はもちろん、この男だ)
ガイアスは、素知らぬ顔で書類の山を机に積む男を、睨むように見上げる。
(この男なら、俺の予定を把握し、抜け出すタイミングの予想も簡単に出来ただろう)
なんと言っても、ガイアスとこの男との付き合いは、十五歳の時からだ。
かれこれ、十年の付き合いになる。
(長年の付き合いが仇になったな。言葉にしなくても俺の動きを察する事が容易なこの男になら、企てた作戦を阻止する事も可能だろう)