渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
(そんな大国の王様が……私を後宮に?)
カルデアは何を言い出すのかと、目を白黒させながら、ハミールを見つめた。
「その美貌、ぜひとも我が妻に迎えたい」
「それは……私の一存では決められません」
カルデアは、当たり障りない答えを返した。
(ハミール様は確か、二十七歳という若さで後宮に妻を複数抱えている。私にも、その一員になれと言っているのね……)
「ならば、ガイアスに許可を取ればよいか?」
「え……ガイアス様に?」
「ガイアスはこの国の王だ、お前の身の振りはガイアスが決められるんだろう?」
(確かに、ガイアスが私にアルハジャールへ嫁げと言えば、敗戦国の王妃だった私は……断れないわ)
そう思うと、カルデアは深い悲しみに襲われた。
ガイアスを好いているカルデアには、最も辛い命令だと思ったからだ。
「我が国には財力がある。条件に、多額の金を積もう。それならガイアスも、頷いてくれるはずだ」
「…………」
(それで、ガイアス様に恩返しが出来るのなら……それもいいのかもしれない)
この恋は報われないのだから、離れた方が返って辛くないだろうと、カルデアは考えを巡らせる。