私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
それどころか、最近は部屋でひとり、お酒を飲むのも抵抗がなくなってきた。むしろ、それが帰宅してからの楽しみ。だって、外は暑いし、お風呂上がりのビールは格段と美味しい!

私は冷蔵庫にペットボトルをしまうと、ふと手を止めた。

あれ……? 無い……。

冷やしてあると思っていたビール缶が無くなっていたことに気づかなかったようだ。

気づいてたらスーパーで買ったのに。

予定もない金曜日なのに、飲めないのは寂しい。なんて思っている私は、もうオヤジへの道に片足突っ込んでる。分かってるけど、自分の欲には勝てず、私は小さなトートバッグに財布を入れて、玄関でぺたんこのサンダルを履いた。真夏だし、湯冷めの心配はないから、服装はそのままでオッケーだろう。

時刻は午後八時すぎ。駅前のスーパーは十一時まで開いてるけど人が多そうなので、それよりやや手前にあるコンビニを目指して、車通りの多い明るい歩道を進む。そして、七、八分で目的のコンビニに到着した。

店内の客はまばらで、それほど混んでいない。私は酒類の棚へ向かいビール缶をふたつ、買い物カゴへ入れた。レジへ向かう途中で目に止まった枝豆の袋を手に取る。

これ、レンジで温めたらすぐ食べられるやつだ。便利なんだよね。

迷わずカゴに入れて、スイーツの並ぶコーナーへ差し掛かった。視線の先の甘いものにも心惹かれ、残りひとつになっていたカラメルカスタードプリンへ手を伸ばそうとした時。

同時に横から別の人物の手が伸びてきて、私の手に一瞬軽く重なった。
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