私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
「詩織、おはよう」
週明けの月曜日。ぞろぞろと、これから出社する社員の群れに続いて会社のエントランスからエレベーターホールへ向かう途中、後ろから聞き慣れた声と共にポンと軽く肩に手を置かれた。
「あ、真由……おはよ……」
振り返った私の顔を見た真由が、少し心配そうな表情を向ける。
「大丈夫? なんか元気ないみたい」
「え? ああ、また月曜日始まったなー、って思って……」
言葉の最後に小さなあくびが出る。
「どうしたの? 寝不足?」
「あ、うん……昨日、妹から借りたDVD見てたら、寝るの遅くなって」
私の妹の趣味を知っている真由が美しく微笑む。
「詩織もハマっちゃった?」
「まさか。でも、ちょっと癒されるかなー……」
「癒されるって、なんか疲れることでもあったの?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
歯切れの悪い返答をしながら脳裏をかすめるのは金曜の夜、コンビニで宮坂主任と遭遇した場面。