私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
到着したエレベーターに乗って、営業部の階で降り、真由と話しながらそれぞれの課に向かって廊下を進む。

「あ、宮坂主任」

真由の声に、思わずギクリとして私も視線を上げる。正面から、スーツ姿の宮坂主任が颯爽と歩いてくるのが見えた。

変に動揺すると怪しまれる。平常心、平常心……、と心の中で唱える。

「おはようございます」

すれ違い様に真由が挨拶をし、私も彼女に続いて「おはようございます」と頭を軽く下げながら言った。

「おはよう、泉さん」

宮坂主任が立ち止まり、穏やかな口調でまず真由にそう言うと、今度は私の方に視線を向けた。

「……木谷さんも」

コンビニの時と同じように、私の顔を見つめている。

な、何……? もしかして、気づいてる……?

社内でも人気の高いイケメンに、こんな風に朝から見つめられたら普通ならテンションが上がって今日一日をとても幸せに過ごせるだろうけど、私にとっては居心地の悪い視線に他ならない。

だけど、急に立ち去るのも不自然な気がして、私も迎え撃つようにあえて宮坂主任の目を見返す。

すると、主任は私をじっと見据えたまま、形の良い唇に微笑を浮かべた。そして何も言わずに再び歩き出し、廊下の先に消えていった。

何なの、今の意味ありげな微笑みは……。目が笑ってなかったんですけど……!

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