私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
主任とは課が違うからお互い接することはほとんどないにしても、同じビルの同じ階に勤務してるので、日中全く会わないわけじゃない。

月曜日から今日に至るまで、廊下ですれ違ったり一課に用事があって訪ねたりして、たまたま居合わせた主任と顔を合わせることも何度かあった。その度に向こうは言葉は発しないものの、私を見て一瞬口角を上げる。ニヤリ、と不気味に微笑まれてるようで、当然気分が良いわけない。

ああ、これでもう分かった。あの時のすっぴん女が私だって気づかれてるわ、これは。

そう思うと同時に腹が立ってきた。別に、私が社外でどんな格好でいたって、いいじゃない。バカにしてるんだよね、絶対。

それとも、あれかな。黙っててやるかわりに、言うこと聞けよ、的な? 俺と付き合え……は無いか。だって新山さんが言ってたしね。主任は『誰も見てないところでもキレイにしてる人がタイプ』だって。それなら私は対象外のストライクだ。

はっ……! それとも彼女以外の扱い……例えば体目当てとか……!?

いやいや、さすがにそれは飛躍しすぎ、と自分でもそう感じて小さく首を振る。でも、何企んでるか知らないけど、向こうの態度に絶対屈したりするもんか!

「真由、私、負けないからね!」

私は立ち止まって真由の手をぎゅっと握りしめた。そんな私の急な行動に驚いたのか、真由が少し体を引く。

「え、何の話……?」

「真由も気づいてたんだよね。主任の私を見る目に」

「うん、すごく優しい目で詩織を見てる、ってことでしょ?」

「……は……?」

全く予想もしてなかった、正反対の答えに私はきょとんと目を丸くした。



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