私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
「もしそれだけが理由なら、すごい音だったんだね」

呆れつつも何か言いたそうに私の顔を見ていた真由だったけど、もう目の前に駅の改札が見えたこともあってか、結局何も言わないままだった。こういう時、徒歩十分の道のりはいつもより短く感じる。

真由とは帰る方向が逆だ。

「そうだ、詩織。明日の夜、予定なかったら一緒にご飯食べに行かない?」

改札を通ってそれぞれのホームへ向かおうとした時、真由が言った。

「あ、そういえばしばらく行ってなかったね。いいよ、もちろん」

私が微笑むと、真由も同じようににっこり笑う。

「いいお店紹介してもらったんだ。そこに連れてくね」

そのあとすぐに、向かい側のホームから電車到着のアナウンスが流れ、真由が踵を返しながら片手を上げる。

「じゃあ、また明日ね」

「うん、楽しみにしてる」

早足で去っていく親友の背に、私も手を振った。

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