私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
私があっさりと、あの日のすっぴんメガネ女は自分だと認めるとは、宮坂主任も思っていないだろう。何を考えてるか知らないけど、あなたの思い通りには事は運ばないのだよ。

ふふふ、と先手を取った気分で相手がどんな反応をするのか、彼の表情を窺っていると。

「そうか」

意外にも、彼から発せられた言葉は単純なものだった。特に表情にも変化は見られない。

「あの時、俺が手を伸ばしてしまったから、木谷さんが買いそびれて、悪いことをしたな、って思ってたんだ」

「……は……?」

「別に俺のことは気にしなくてよかったのに。会社出たら、上司も後輩も関係ないしね。ああいうのは早い者勝ちだよ」

「……はぁ……」

え……? 何、このズレた会話。別に主任に気を遣ったわけじゃないんだけど……。主任はあれが私だって気づいたけど、特に気にしてなかったってこと? 私だけが気にしてたみたいで、なんか、すっごくバカみたいなんだけど……。

「ところで、木谷さんはいつもあんな格好で夜、外に出てるの?」

主任の目が急に真剣になって、私に向けられる。何か、冷めたような、でも怒っているような印象を受けるのは気のせい?

あんな格好っていうのは、スウェットとTシャツのだらけた服装のことだよね。悪かったわね、変な格好してて。あなたにそんな顔される筋合いないですから。

私は少しむくれて、主任を見た。

「夜なので誰にも会わないと思ってたし、楽なので。私が人に見られたら困るような格好して夜出歩いてる、って誰かに言いたければ、お好きにどうぞ」

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