私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
上司に対して、失礼な物言いをしているのはわかっている。でも、あの姿を私の弱みだと勘違いされたくないから、どうしてもこんな突っぱねるような口調になってしまう。

でも、このネタで私をからかっても何の意味もないということを、主任も感じ取ったはず。

私も冷めた目で前を見据えていると、主任はその端正な顔を少し崩して、「プッ」と小さく吹き出した。それはすぐに「ククッ」と小さな笑い声に変わる。

完全にバカにされた……! あったま来た!

「笑うことないじゃないですか!」

「あ、ごめん。まさかそんな返しが来るとは思わなかったから」

ほーら、やっぱり。

「私が泣きつきながら、『この前のことは忘れてください』とでも言うと思ってたんですか?」

心の中で思い切り、べーっと舌を出しながら、冷ややかに答える。

すると、主任は笑みを消し、真剣な眼差しになった。

「まさか、とんでもない。……いや、今のは俺の聞き方が悪かったな。そう捉えられても仕方ない。嫌な気にさせてすまなかった」

「え……」

急に謝られて、調子が狂った私は勢いを削がれたように、返す言葉に詰まってしまった。

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