私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
「よし、じゃあ、詩織に似合いそうな人を探しとく。今度は年下はやめて、なるべく年上でね」
真由が唐突に言った。
「……何でそうなるの。いいよ、別に」
私は素っ気なく言葉を返すと、定食に付いてる小鉢のおかずをつまんだ。
「じゃあ、社内に目を向けてみる気になった?」
「……それは、ない」
社内恋愛は、しないと決めている。
私は真由から視線を逸らした。すると、やや混雑してきたテーブルとテーブルの間を、トレイを持ったままキョロキョロ見渡しているひとりの女子社員が視界に映った。
「真由、彼女、ここに座らせてあげてもいい?」
もちろん、と真由が答えてくれたので、
「新山(にいやま)さん、ここ空いてるよー」
と、手を振った。
私の声に気付くと、その女子社員はホッとしたように微笑んで、こちらへやって来る。
「ありがとうございます、失礼します」
新山さんは、ペコリと頭を下げて、私の横に座った。
彼女は二つ年下で、同じ課の後輩だ。栗色のボブヘアが肩の上でくるんと内巻きになっていて、小柄で、守ってあげたくなるような女の子。
「お昼休憩に入ろうと思ったら、急に顧客から電話かかってきて。遅くなっちゃいました」
「お疲れさま……あれ、何かいいことあった?」
「あ、分かります? さすが、木谷さん」
ふふ、と新山さんが笑う。
「実はさっき……一課の宮坂主任とエレベーターで一緒になったんです……!」
真由が唐突に言った。
「……何でそうなるの。いいよ、別に」
私は素っ気なく言葉を返すと、定食に付いてる小鉢のおかずをつまんだ。
「じゃあ、社内に目を向けてみる気になった?」
「……それは、ない」
社内恋愛は、しないと決めている。
私は真由から視線を逸らした。すると、やや混雑してきたテーブルとテーブルの間を、トレイを持ったままキョロキョロ見渡しているひとりの女子社員が視界に映った。
「真由、彼女、ここに座らせてあげてもいい?」
もちろん、と真由が答えてくれたので、
「新山(にいやま)さん、ここ空いてるよー」
と、手を振った。
私の声に気付くと、その女子社員はホッとしたように微笑んで、こちらへやって来る。
「ありがとうございます、失礼します」
新山さんは、ペコリと頭を下げて、私の横に座った。
彼女は二つ年下で、同じ課の後輩だ。栗色のボブヘアが肩の上でくるんと内巻きになっていて、小柄で、守ってあげたくなるような女の子。
「お昼休憩に入ろうと思ったら、急に顧客から電話かかってきて。遅くなっちゃいました」
「お疲れさま……あれ、何かいいことあった?」
「あ、分かります? さすが、木谷さん」
ふふ、と新山さんが笑う。
「実はさっき……一課の宮坂主任とエレベーターで一緒になったんです……!」