(完)嘘で溢れた恋に涙する
おばさんはいつもと変わらないぶっきらぼうな口調でそうまくし立て私に傘を押し付けた。



思わず傘を受け取ったものの、私の頭の中にはいくつものはてなが浮かんでいた。



「なんで…」



それしか言葉を繰り返さない私におばさんはわかりやすいため息をついて答えた。



「学校から連絡のきたとさ」



そういう意味で聞いたわけじゃないということはおばさんもわかっているはずだ。



それでも答えようとしないのはなぜだろう。



「だけど…私が何をしたっておばさんには関係ないじゃないですか」



生意気だなとはっ倒されたって構わない、そんな勢いで問いかけた。



それでもおばさんはその問いかけには答えることなく、自分が着ていた上着を無理やり私にはおらせ、持っていたタオルで私の顔を拭いた。



そして、私の腕を引っ張りもう一度帰るよと言った。



1つしか傘はなく、なるべく傘をおばさんの方に傾け、おばさんの歩幅に合わせゆっくりと歩いていく。



途中でおばさんは穏やかな口調で言った。



「城島さんとこのお孫さんとなんかあったっちゃろ」



学校が言ったのだろうか。



おばさんも陸玖のおばあちゃんのこと知ってたんだ。




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