(完)嘘で溢れた恋に涙する
だけど、次の瞬間おばさんの口から放たれた言葉に私は凍りついた。
「加害者の娘と被害者の息子が出会っていいはずなかったとよね」
思わず立ち止まりおばさんの目を見つめると、おばさんは私の肩をさすりながら話し始めた。
「初めっから知ったったとよ。
あんたの父親が起こした事件の被害者の息子がここにおるって。
あの子がここに来るときに大きな事件の被害者遺族だって噂になってね。
ミツさん、あの子のばあちゃんね、もずっと忙しそうにしとったけんなんとなく予想はついとったしね。
だけどその子を温かく迎えてやるためにもこの話は大人だけで隠し通した。
うちはその加害者が親戚の娘の旦那って知っとったけん、謝りに行こうとも思った。
謝って済む問題でもなかけどね。
けど、その子が事件を忘れるためにここに来たのならそんなの迷惑でしかない。
そう思って黙っとった。
やけどあんた達がここに来るって言い出してそりゃあ焦った。
あの子だってさすがに自分の家族を轢き殺した男の家族の顔くらい知っとるはずやけんね。
今の時代そんなもん簡単に見れるみたいやし。
間違いなく同級生のあんたとあの子は顔を合わせてしまう。
それはあんたにとってもあの子にとっても不幸にしかならない。
家族を亡くした痛みに耐えるあの子はもちろん、罪の意識にずっと苛まれているはずのあんたもこれ以上傷つく必要なんてない。
そう思って必死にここから遠ざけようとした。
けどなかなかあんたの母親が折れんでね、思わず本当のこと言おうとも思ったけど、それも出来んかった。
弱ってたあの母親がさらに悩むのは目に見えてたからね。
結局あんたたちはここに来てなんとか早くここから追い出そうと酷いことをしたし、言った。
本当に悪かったね。
だけどやっぱりあのときもっとしっかり断っとけばよかった。
こんなに傷ついてボロボロになって、ごめんねえ」
そう言って、おばさんは静かに涙を流した。
「加害者の娘と被害者の息子が出会っていいはずなかったとよね」
思わず立ち止まりおばさんの目を見つめると、おばさんは私の肩をさすりながら話し始めた。
「初めっから知ったったとよ。
あんたの父親が起こした事件の被害者の息子がここにおるって。
あの子がここに来るときに大きな事件の被害者遺族だって噂になってね。
ミツさん、あの子のばあちゃんね、もずっと忙しそうにしとったけんなんとなく予想はついとったしね。
だけどその子を温かく迎えてやるためにもこの話は大人だけで隠し通した。
うちはその加害者が親戚の娘の旦那って知っとったけん、謝りに行こうとも思った。
謝って済む問題でもなかけどね。
けど、その子が事件を忘れるためにここに来たのならそんなの迷惑でしかない。
そう思って黙っとった。
やけどあんた達がここに来るって言い出してそりゃあ焦った。
あの子だってさすがに自分の家族を轢き殺した男の家族の顔くらい知っとるはずやけんね。
今の時代そんなもん簡単に見れるみたいやし。
間違いなく同級生のあんたとあの子は顔を合わせてしまう。
それはあんたにとってもあの子にとっても不幸にしかならない。
家族を亡くした痛みに耐えるあの子はもちろん、罪の意識にずっと苛まれているはずのあんたもこれ以上傷つく必要なんてない。
そう思って必死にここから遠ざけようとした。
けどなかなかあんたの母親が折れんでね、思わず本当のこと言おうとも思ったけど、それも出来んかった。
弱ってたあの母親がさらに悩むのは目に見えてたからね。
結局あんたたちはここに来てなんとか早くここから追い出そうと酷いことをしたし、言った。
本当に悪かったね。
だけどやっぱりあのときもっとしっかり断っとけばよかった。
こんなに傷ついてボロボロになって、ごめんねえ」
そう言って、おばさんは静かに涙を流した。