(完)嘘で溢れた恋に涙する
「由姫、ちょっと一緒に行きたい場所があんだけど、いい?」


その言葉に私は頭を巡らせた。


本当は早く帰ってくるようにおばさんに言われていたけど、今日くらいいいよね。


明日からちゃんとお手伝い頑張ろう。


そう自分の中で結論を出して、こくりと頷いた。



「よかった。すぐ近くなんだよ」



そう言って理玖が私の腕を引いていったのは、薄暗い雑木林の中だった。


入り組んだ道を慣れたように進んで行く理玖に少しずつ不安を感じる。


本当は理玖、あのことに気づいていて私、ここで殺されたりして。


突拍子もない妄想のようだけど、そんなわけないと言い切れない。


だけど、まあいいか。


実際私なんて生きている意味がないもん。


理玖に殺されるのなら本望かも。




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