(完)嘘で溢れた恋に涙する
「ここ、俺の父さんが教えてくれた場所でさ、父さんの実家のこの島に帰るたびに家族でここに来てた」




返事をすることも相槌を打つこともできずただ立ち尽くす。




「俺、父さんを病気で、母さんと妹を交通事故で亡くしててさ、だから俺はこの島で婆ちゃんと暮らしてんだけど、やっぱ墓参りはまだ辛いとこあってさ、だからみんなが大好きだったこの場所を墓代わりにしていつも来てんの」




理玖は鼻の下をこすりながら、少し悲しみを含んだ笑顔を見せる。




そんな理玖を見て胸が張り裂けそうになる。



こんなところ、来たくなかった。




私はおもむろにその辺に落ちていた折れた木を拾って、花の咲いていない地面に文字を書いた。




理玖はそんな私に気づいて覗き込んできた。



【どうして私をここに連れてきたの?】



そう書いて、理玖の目をじっと見つめる。




理玖は地面の文章を読んで、しばらく黙ったまま座り込んでいた。



それから、ぽりぽりと頭をかいて、困ったように眉を曲げて言った。




「なんでだろうな。なんか由姫に知って欲しかったんだよ。あ、他の奴らには言うなよ。女々しい男って思われたくないから」


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