熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「アヤノは相変わらず堅苦しいわね。若いんだから、もうちょっとオシャレを楽しんだら? せめて明るい色合いの服、着ればいいのに」


マリーさんはそう言って、眉尻を上げながら『ふん』と鼻を鳴らした。
彼女は私の喉元に長い指を伸ばしてきて、ダイヤのペンダントトップを揺らす。
そんな仕草に、私は一歩足を後退させて逃げた。


「せっかくのダイヤのペンダントが、埋もれてるわよ。まあいいわ。そんなことより……」


私が身体を強張らせるのには気付かず、どこか怪訝そうに辺りを見回す。


「ユヅキはどこ? あなたが一人なんて珍しい」

「あ、えっと……」


私が返事をする前に、彼女はそれほど離れていない場所で談話中の彼を見つけた。


「なんだ、いるじゃない。なあに? 今日は金魚のフンみたいにくっついて歩かなくていいの?」


マリーさんが形のいい眉を寄せながら、私をチラッと見下ろした。
それに私はただ肩を竦める。


マリーさんが揶揄するように、私が彼女と会話をする時、いつも隣に優月がいた。
年が近いせいか、彼女は優月とも対等に会話をする。
なんでもズバズバと臆せず話す、強い大人の女という印象で、私はちょっと苦手なタイプだった。


「私は、ただの秘書なので……」


とりあえず聞かれたことに答えると、マリーさんは更に不思議そうに眉間の皺を深めた。
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