熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
パーティーも半ばを過ぎ、トイレに立ったタイミングで、私はホテルの十階フロアにある『空中展望台』に向かった。


オープン当初から、このホテルが売りの一つにしている屋外の展望台。
コンクリの上に作られた人工的な物ではあるけれど、緑がふんだんに使われていて、ちょっとした庭園のようになっている。
優しい緑と癒しの空気は、まるで都会のオアシスのようだ。


オフィス街ど真ん中という立地ならではの、迫力あるビル群の景色も堪能できる。
今日のような秋晴れの日は、見上げる空が更に高く思えて心地よい。
満ち溢れる開放感が染み入ってくる。


夜は綺麗にライトアップされ、今とは違う『顔』を見せる。
オフィスビルの窓に灯る明かりが降ってくるみたいで、とても幻想的な空間。
近隣で働くカップルや観光客で賑うけれど、今は金曜日で夕景も見れない中途半端な時間のせいか、人の姿も疎らだ。


展望台を囲むように、四方に張り巡らされた柵のギリギリまで歩いて行って、私は溜め息をついた。
胸の高さまである柵に両腕を乗せて、そこに右の頬を預ける。


パーティーは三時間の予定で、あと三十分もしたらお開きになる。
戻らなきゃいけないのに、私の胸はずっとモヤモヤしたままで、どうにか少しでも晴らしたかった。
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