熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
声に抑揚が表れないよう、淡々と言って目を伏せる。
優月に力を借りるかのように、咽喉元のペンダントをギュッと握り締めた。


「恋?」


聞き返してくるマリーさんの声には、どこか小馬鹿にしたような軽い響きを感じる。
私はそれは気にせずに、ただ大きく頷いた。


「今までは、祖父が勝手に決めた許嫁というだけだったけど、ちゃんと……恋人として」


私が強気でそう説明した途端、マリーさんは口元に手を当てて、ブブッと結構豪快に吹き出して笑った。
バカにされているのは明らかだ。
私の胸に不快な感情がじわじわと広がっていく。


「恋、ねえ……。アヤノ、何歳だっけ?」


クスクス笑いながら、チラッと横目を向けられる。
さっきまでまさに気にしていたことをサラッと聞かれて、私は思わず口ごもった。


「……二十五歳、ですけど」

「若いわね~。腹立たしいくらい」


茶化してるだけじゃない、どこか辛辣な空気も感じて、私はムッと口を噤んだ。


「婚約解消を言い渡したのは、アヤノの方かしら? そうでしょうねえ。だって、ユヅキの方は、そろそろ結婚の準備に入っていたはずだもの。……遊びの女たちは清算して」


私は黙っていた。
それでも、マリーさんの次の言葉に警戒して、無意識にきゅっと唇を噛んだ。
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