熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
そこに体重を預けるように前に屈み、全身を力ませる。
そうやって、なんとか涙を止めようとした。


だって、私、なんで泣いてるの……。
自分で自分に問いかけながら、脳裏を過るのは、優月に抱え上げられたマリーさんの勝ち誇ったような微笑みだった。
消しても消しても消えてくれない彼女の笑い声が、今でも鼓膜を震わせる。
展望台で言われた、胸を抉るような幾つもの言葉が、とぐろを巻くように湧き上がってくる。


「ううっ……」


どんなに身体に力を入れても、体幹から込み上げてくるこむら返りのような震えが治まらない。
それが不快で、無意識に小さな呻き声を漏らした時。


「あれ。綾乃ちゃん?」


どこかとぼけたような声が耳に届いて、私は一瞬ピクッと肩を竦ませた。
名前を呼ばれたから、私は素直に顔を上げてしまう。


「こんな時間に何して……って、え? 何? 泣いてるのか!?」


私のグチャグチャな顔に気付いたのか、声をかけてきた進藤さんが素っ頓狂な声をあげた。
その後は大きな歩幅で弾むように駆け寄ってきて、私の前でピタリと足を止める。


「綾乃ちゃん」

「す、すみませんっ……。お見苦しい顔をお見せしちゃって……」
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