熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「……なるほどねえ」


それでも進藤さんは、事態をあっさり把握して、納得したように呟いた。


「でも綾乃ちゃん。泊めるって言っても、もちろん本邸の方だろ? 優月は別邸で生活してるんだし、まさかヤツが彼女の世話するわけじゃなかろうに」

「でも、嫌なんです!」


進藤さんの言う通り。
冷静になればなんてことないと思うのに、私は完全に衝動にのまれていて、進藤さんにすら声をあげてしまう。
彼が怯むのを気配で感じながら、私は何度も首を横に振って、更に感情に任せて訴えた。


「優月に今でも好意を向ける人が、優月と同じ敷地内で、この週末過ごすなんて。じ、自分でも、なんでそのくらいのことが嫌なのかわかんないけど、嫌なものは嫌なんですっ……」

「はあ……。綾乃ちゃん、どうして自分がそんなに荒れ狂ってるのか、無自覚?」

「え?」


呆れたような口調で聞かれて、私はズッと鼻を啜ってから聞き返した。
『無自覚?』と聞いてくる進藤さんには、私の何かがわかるのか。
それが知りたくて、恐る恐る顔から両手を離した。


涙をいっぱいに湛えた瞳で、きょとんとしながら進藤さんを見つめる。
彼はガシガシと頭を掻いて、なんだかとても大きくて深い溜め息をついた。
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