熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「嫌……だった」

「え?」

「私が知らない優月を、マリーさんは知ってる、から」

「……綾乃?」


優月が私の手を解きにかかる。
私はそれに抗わず、手を離して優月の背から離れた。


それを待っていたかのように、優月がクルッと身体の向きを変えて、正面から私と向き合う。
私が羽織ったままのカーディガンを、優月が前でしっかりと合わせてくれた。


「だって……マリーさんには見せたんでしょ? ……優月の、欲情した顔」


頬が熱を帯びて熱くなるのを感じながら、私は掠れる声でそう呟いた。


「欲、って……えっ!?」


大きく目を見開いた優月が、私の質問を自分で繰り返し、最後はギョッとして声をひっくり返らせた。


「ちょっ……待て、綾乃。お前、何を……」


言いながら、吸い込んだ酸素に噎せ込んで、優月がゴホッと大きな咳をする。


「私は見たことない。優月のそんな顔」


優月の驚きようが想像以上だったから、私まで恥ずかしさが強まってしまい、唇を尖らせてそっぽを向いた。
そんな私の前で、優月は言葉に詰まっている。


「だから……マリーさんの怪我は私のせいだし、優月が家に泊めるように手配してくれたのは私の為ってわかってても、嫌だったの!」
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