熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「綾乃……」

「優月が私だけって言ってくれても、今でも優月に好意を持ってるマリーさんが、私よりも優月の近くにいるの、嫌なの!」


自分でも醜いとわかっている嫌な感情を、優月の前で晒すのは恥ずかしい。
それでも、全部思う存分吐き出してしまったら、胸につかえていた物が、ほんの少し軽くなったような気がした。


優月の視線が降ってくるのを感じながら、私は顔を俯けて、「はーっ」と声に出してお腹の底から深い息を吐いた。
少し自分を落ち着かせると、黙ったままの優月の反応が怖くなり、窺うように目線を上げた。


「優月……?」

「……ったく、お前は、ほんと」


私よりも赤い顔をした優月が、大きな手で顔を隠しながら溜め息交じりに呟いた。
そしてもう片方の手で、どこか乱暴に私の頭をグリグリと撫で回す。


「っ、優月っ!」

「さっき伝えようと思ってたんだけど、今夜、綾乃の部屋、ウチの方に用意させたから」

「……え?」

「別邸の方に。ご両親にも連絡しておいた。どうせ明日も、朝からマリーの世話するつもりだろ?」

「う、うん……」


髪をグチャグチャにする優月の手を止めようと、私は頭に手を遣った。
私が手を掴むと、優月はその手を引っ込めながら、細めた目で私を見つめてくる。
< 186 / 255 >

この作品をシェア

pagetop