熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「えっ……!?」

「肩とか背中とか、もうバッキバキ! 週明けから筋肉痛だと、仕事も辛いから。……ね?」


ニッコリ笑って優月の顔を覗き込んでみる。
彼はズズッと後ろにお尻をずらし、私から少し距離を離した。


「お前な……。『ちょっとばあちゃんの肩揉んで』くらいの感覚で言ってんだろ……」


優月が額に手を当てて苦い表情をしているのを横目に、私も少しお尻をずらして彼に背中を向けた。


「肩と背中と腰。いいじゃない、ちょっとだけ! 後で私も優月にやってあげるから!」


ゴリ押しだとわかっていて、私は優月にお願いを畳みかける。
やがて背後で、とても深い溜め息が聞こえてきた。


「……ちょっとだけだぞ」


覚悟を決めたとでも言うような優月の返事に、私の胸もドキッと跳ねた。
それでも、うんうんと大きく頷いて見せる。


「ありがとう、優月」

「ったく……社長に肩揉みさせる秘書なんか聞いたことねーぞ」


優月はそうボヤきながらも、両手を私の肩に乗せた。
そして、どこかおっかなびっくりの様子で、そっと力を込めてくる。


「社長って。今日は休日なんだってば。……あ、気持ちいい」

「……ほんとだ。お前、肩パンパンだな。これ、マリーの世話だけでこうなったわけじゃないだろ」
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