熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
そんなことを言いながら、少しずつ優月が緊張を解いていくのが感じられる。
最初は遠慮がちなソフトタッチだったのが、指や手の平にも力がこもり、本当に指圧マッサージを受けているかのように気持ちがいい。


「ん……はあ、気持ちいい……」


思わずそんな声が漏れてしまう。
ほんのわずかに優月の手が止まったけれど、彼は黙ったまますぐにマッサージを再開してくれる。


「後、どこ? 背中って言ったっけ」

「うん」

「……この辺?」


優月の手が肩から滑り、指で肩甲骨に沿うように押してくれる。
力加減が絶妙で、あまりの気持ち良さに、私は「はあ……」と長い息を吐いた。


「……座ってるとやり辛いな。どうせならちゃんとやってやるから、綾乃、ベッドにうつ伏せになって」


そう言いながら、優月が私から一度手を離した。


「うん」


私は優月に言われるがまま、ベッドに膝をついて上に乗った。


本当にエステの施術を受けるみたいに寝そべる。
優月が私を跨いで膝立ちの状態になり、ベッドが軋む音が聞こえた。
再び優月の手を背中に感じて、私はギュッと目を閉じた。


座って背中を向けた格好よりもやりやすいのか、さっきよりもずっとずっと絶妙な力加減だ。
< 207 / 255 >

この作品をシェア

pagetop