熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
その後――。


私が草案したコメントをFAXした後、しばらくの間は、連日連夜、本社ビルや優月の家、私の家の周りにも雑誌の記者が待ち構えたりした。
だけど、優月も私も会社としても、取材には一切応じず、ひたすら沈黙を保った。


優月は私の退職願を頑として受け入れず、私は社員として残されたけど、今までと変わりなく仕事をするのは困難な状況だった。


私が優月の秘書として同行したら、いつまでも張り込んでいる雑誌記者たちの視線を引きつける。
どんなに沈黙を守ったところで、騒動の早期鎮静化は図れない。


優月の外出には秘書室課長が同行し、私は社内に残って事務補佐に就くという方法もあった。
対外的な問題だけなら、そうやってほとぼりが冷めるのを待てば良かった。


だけど本当に混乱の収拾が必要だったのは、社内の方だった。
この騒動は、社長を巻き込んだ上、社名を汚すスキャンダルだ。
原因となった私がいつまでも本社ビル内で優月の側で働いていては、一般社員の士気を下げかねない。


その結果、私は異動することになった。


そしてそれから二ヵ月後の十二月。
クリスマスの賑やかムードで、街が彩られる中。


私は、苦手な英語が飛び交うオフィスで働いていた。
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