熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
まるで誘うようなその感触に、私は一度ゴクッと唾をのみ込んだ。
そして――。


「っ、綾乃」


次の瞬間の私の行動に、優月がわずかに上擦った声をあげた。
背中を撫でる優月の手を捕まえて、その手を自分の胸に押し当てながら、私は彼を見上げる。


「……続き、して」

「えっ?」

「中途半端に終わったままだった」

「っ」


戸惑ったように私を見下ろしていた優月が息をのみ、その男らしい喉仏が一度上下した。
私は優月の手を離し、彼の頬を両手で挟むように捕まえる。
その途端、いきなり足元を掬われ、ふわっと浮き上がるような感覚に襲われた。


「ひゃっ……」


慌てて声をあげ、優月の首に両腕を回してしがみつく。
お姫様抱っこされていることを自覚して、胸がドキンと大きく飛び跳ねた。


「ベッド。どっち?」


優月がリビングから奥に続く二つのドアを見遣って、私に寝室の場所を確認してくる。


「あ、えっと……右側のドア……」


私は優月にそう答えながら、しがみつく腕に力を込めた。


ベッドに仰向けに横たえられて、優月に組み敷かれた途端、自分でお願いしたくせに猛烈な緊張感に襲われた。
私を見下ろす優月の瞳は、見たことないくらい艶めかしく潤んでいて、そこには確かな情欲の色が秘められていた。
そして多分……優月を見上げた私の瞳も、彼と同じ熱情を宿していたはずだ。
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