熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
祖父の三回忌法要は、私の実家で執り行われることになっていた。
先祖代々から受け継いだ立派な庭園と、純日本家屋の本邸。
私の家は重厚で趣があり、見た目だけはとても立派だ。


その本邸の西の対に、だいぶ前に洋室に改装した私の自室がある。
優月は今、私の部屋の格子ガラスが嵌った窓の前に佇んでいる。
秋らしいススキや桔梗で彩られた庭園を眺め、どこか不機嫌な様子で腕組みをしていた。


「まさか、本気で婚約解消する気でいるのか?」


法事は十一時から始まる。
優月は一時間も早くうちにやって来た。
彼は寸分の隙もないフォーマルなブラックスーツに身を包んでいるけれど、私の方はメイクと髪のセットを終えただけで、まだ喪服を着ていない。
優月が予想以上に早く来たせいで、着替えが間に合わなかったのだ。


私はベッドに腰かけ、優月の背を見つめたまま、彼の質問に「はい」と返事をする。


「もちろん、穂積のご両親にも説明してお許しをいただかないと。今すぐ晴れて自由の身、というわけにはいかないけど……」

「俺の何が不満だ?」


優月は私の返事を遮り、大きく身体ごと振り返った。
不機嫌に歪んだ綺麗な顔に、わかりやすい苛立ちが滲み出ている。


私は彼から目を逸らし、ちょっと曖昧に首を傾げてみせた。
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