熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
そう言って、進藤さんは私のジョッキに自分のを『かんぱ~い』と軽くぶつけてきた。
続けて、優月のジョッキにも同じ行為を繰り返す。


目の前で残りのビールをグイグイ飲み干す進藤さんに、私も優月もちょっと呆気に取られていた。
隣で優月がどこか呆れたような息を吐くのを聞いて、そっと彼の横顔を窺い見る。
優月も私の視線に気付いたのか、チラッと私を見てから肩を竦めた。


「完全に進藤のペースにのまれた」


どこか忌々しそうに言いながらも、その表情には苦笑が浮かんでいる。


「『理性総動員して』大事にし過ぎた。……間違ってない。進藤の言うこと。だったら、俺は……」

「え?」


何か考え込むようにボソッと呟く優月に、私はただ聞き返す。
けれど優月は目を伏せ、「いや」と私への返事をはぐらかした。


そんな優月に首を傾げながらも、私は自分のジョッキを優月のにコツンとぶつける。


「進藤さんの言う通りだね。楽しく飲もう。乾杯、優月」

「……ああ」


優月が穏やかに微笑むのを見て、私もホッとした。
進藤さんに恥ずかしいことを暴露されて、ちょっと落ち着かない気分もあったけれど、場の空気が和み始めたから、頭を切り替えることができた。
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