熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
電話でのやり取りを終えてチラッと優月を見遣った時、彼も山積みの決裁箱から分厚い英文契約書を手に取り、真剣に目を通していた。
私もすぐにパソコンに目線を戻し、残りの未開封メールをクリックする。


そして、つい今受信したメールを開いて、思わずハッと息をのんだ。
社内から送られたメールは、進藤さんからだった。


優月は契約書に集中していて、私の妙な反応に気付いていない。
それを確認して、私はウィンドウサイズを小さくして、無駄にコソコソと本文に目を通した。
そこにあったのは、金曜日の夜の謝罪の言葉だ。


『ちゃんと顔を見て謝罪したい。仕事の合間にちょっとだけ、社内で立ち話程度の時間でいいから、会ってくれないかな』


この間のお酒の誘いのように、『業務後に二人で』と言わないのは、私が警戒すると思ったからだろう。
警戒したわけじゃないけど、私はやっぱり躊躇した。


優月が言ってくれたように、あれは確かに事故だったんだから、進藤さんが謝る必要はない。
そう言って断ればいい。


だけど、このままでは気まずい。
今ここで断ったら、私だけでなく優月と進藤さんの関係も悪くなってしまいそうだ。


あんなことになるまでは、二人とも本当に楽しそうだったからこそ、私のせいで仲違いさせたくない。
私は決心して、進藤さんからのメールに返事をした。
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