熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
私のスケジュールの大半は、優月の物と連動する。
外出や来客対応の時はそれに縛られるけれど、社内での会議出席の時は、社長室に残って雑務に当たる。
その時間にちょっとだけなら、進藤さんと会うことも可能だ。


私が返したメールに、進藤さんから『午後三時、エントランスフロアのアトリウムで』と返事がきた。
三階まで吹き抜けの、天井の高いアトリウムは、社食とは別に簡単な軽食がとれる場所だ。
お昼時は、お弁当持参の女子社員たちでいつも賑わっている。
進藤さんが指定した午後三時頃だと、コーヒーブレイクに訪れる社員も多い。


人目のない場所じゃないことに安心して、優月が取締役会で離席中に、私はエントランスフロアに降りた。
私の予想通り、アトリウムは割と多くの社員が、コーヒー片手にちょっとした息抜きをしている。
進藤さんの姿を探して奥に進んでいくと、背の高い丸テーブルの横で、立ったまま紙コップを手にしている彼を見つけた。


「し、進藤さんっ……!?」


金曜日の夜以来の進藤さんに緊張するより先に、私はひっくり返った声をあげて駆け寄ってしまった。


「綾乃ちゃん」


私に気付いた進藤さんがほんの少し苦笑するのを見て、「大丈夫ですか!?」と畳みかける。
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