熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
私の前で進藤さんはコーヒーのコップを口に運んだ。


「俺は優月の目の前で、優月が死ぬほど大事にしてた物、奪ったんだから」


そう続けられて、私の胸がドキッと跳ねる。
返す言葉を探して目線を彷徨わせるうちに、進藤さんの方が先に口を開いた。


「綾乃ちゃん、ごめんね。……このくらい、当然の報いだよ」


そう言って頬に手を当てる進藤さんに、私は小さく首を横に振った。


「でも、あれは事故だから」

「え?」

「わざとじゃないのに、謝らないでください。その……私の方も、気が緩んでたとこがあるかもしれないし」


そう言って目を伏せながら、意味もなく両手の指を組み合わせた。
そのまま口ごもる私に、進藤さんはほんのちょっと沈黙してから、はあっと大きな息を吐いた。


「純真って、いいな」

「え?」

「いや……綾乃ちゃんは人の悪意ってものは感じないのかな」

「……?」


なんだか心にザラッとする単語を進藤さんの言葉の中に聞いて、私はそっと目を上げた。
進藤さんは私の視線を受けて、ひょいっと肩を竦める。


「たとえば……俺が酔ってるフリして、君の隙をついてつけ込んだとしたら」


その言葉に聞き返したつもりが、私の声は喉で引っかかり、ひゅっと変な音を立てただけだった。
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