熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
優月を庇って口走った言葉を、彼がちょっと呆れたような声で遮る。
思わず背後を振り仰ぐと、優月はどこかふて腐れた表情を浮かべて、前髪を掻き上げていた。


「奪われるって、初めて本気で実感した。今までにないくらい激情に駆られた。その上での行動だよ」


そんな優月の言葉に、私の心は激しく揺さぶられた。


金曜日、優月にされた、私の記憶を書き換える為のキス。
それは私の為だと思っていたけど、優月は優月でちゃんとそこに想いがあった。
優月自身の言葉で初めて知って、私の胸は猛烈な勢いで加速し始めていた。


「長年の我慢が弾けたってか。一度手を出したら、タガが外れたか?」


胸の前で腕組みをして、ニヤニヤする進藤さんに、優月が不快気に眉を寄せる。


「俗物っぽい言い方するな。……衝動に気持ちが追いつかないから、俺も困ってるんだよ」

「は?」


優月が口元に手を当て、更に眉間の皺を刻むのを見て、進藤さんも不可解そうに首を傾げた。


「……とにかく。少なくとも、綾乃をお前に譲る気は毛頭ない。と言うか、お前に焚きつけられたおかげで、誰にもやらないって気持ちが固まった。その点では、お前にも一応感謝しておく」


優月は気を取り直したように早口でそう言いのけ、呆気に取られている私の腕をグイッと掴み上げた。


「痛っ……」
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