月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
だが、こと自分の問題になると、世間的なジェンダーレスで片付く話でもない。
俺が女性を失った理由も、男として通している理由も、陰陽師・月御門の人間だから、だ。
「なあ百合姫、さっきの無炎以外に見られていたか?」
「教師の何人かは見てたんじゃない? 教員室の前の廊下だったし。生徒の方は……窓の外から見てる奴いたかどうかわからないけど。廊下には私たち以外いなかったわよ?」
「……訊かれたら答えるのめんどくせーな……」
しかも教師の方かよ。
「自分と黒藤にとったら挨拶です、は?」
「そんなハイカラな人種じゃない」
「……今時『ハイカラ』って言葉使う高校生、確かにそんな挨拶しないわね」
なんか納得された。
うんうん、と肯く百合姫。