月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「あっ」
「? どうした?」
いきなり百合姫が大声をあげた。
「……学内に、知られたらやばいのがいたわ……」
「え? ……あ」
華樹(かき)たちか……。
存在が当たり前すぎてすっかり忘れていたけど、斎陵学園には御門の人間、なかでも都内にある別邸に住んでいる子たちも在籍している。
御門流は京都に本邸があって、引退したじい様がそこの主としている。
仕事柄、都心の方が都合のいい現代なので、じい様も現役の頃は都内の別邸に住んでいた。
その家を、今は俺が主として継ぎ、修行中の御門流の子、三人と、月御門家に預けられている百合姫と一緒に暮らしている。
その中で、華樹と牡丹(ぼたん)が高等部の二年生で、結蓮(ゆいれん)が中等部二年生だ。
「……華樹辺りならもう知ってそうだな……」
思わず声に哀愁(あいしゅう)がただよう。