月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「白、百合姫は?」
ダメージもすぐ回復したらしい黒が、また並んできた。
「家。天音についてもらってる。お前の方は無月だけか?」
「縁は争い事苦手だからな。涙雨は勝手に出歩いてる」
「るう?」
初めて聞く名だ。新しい式だろうか。
「あ、白に逢わせたことなかったっけ。涙に雨って書いて、るう。鳥の姿の時空の妖異だ」
「………お前、守備範囲広すぎだろう」
まさか時空の妖異を配下に置いたとは。
かなり高位の妖異だぞ?
妖異にはそれぞれ属性がある。
俺の式の無炎は名の通り焔(ほのお)を本質に持つ。
天音は戦闘を得意とする戦の妖異。
黒の式の縁は、こちらも名前の通り縁(えにし)の妖異。
そして無月は夜の妖異だ。
その中でも時空の妖異は、かなり珍しい上に霊力の強いものが多い、高レベルだと言われる。