月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】


あくまで、黒が正統なる後継者、今の当主は紅緒様から黒への間を保つために置かれたようなものだったから、当事者である黒も関わらざるを得なかった。
 

黒が当主になったとは聞いていないから、また就任の話は蹴っ飛ばしてきたんだろう。
 

でも、黒以上の陰陽師が小路流に現れない限り、拒み続けるのも限界があるだろう。


「いや、天龍にいたって言っても俺、結構国内各地を回ってて、その中で逢ったんだ」


「鬼が陰陽師を頼る、ねえ……時代の流れで片付けていいのか?」


「うーん……そいつら、どこの配下でもないから、困り切って頼って来た感じかなあ。あ、白。この神社」
 

と、黒が示したのは街中にある小さな神社だった。


……こんなところに、鬼が?


「今の時間なら繋がってるはずだ」
 

黒が先を歩くので、俺は黙ってついていく。


今は隠形(おんぎょう・普通の人には視えないように姿を隠すこと)している無炎と無月が、気配を鋭くさせるのがわかった。


「ここ」

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