月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
と、小さな蔵のような堂の前に立った。
「こっちと向こう、両方から道を作ってるんだ。向こうが、俺の家の近くだとここじゃないと無理だって言うから。ここから依頼主がいる山ん中に通じてるから。はい」
………何故か黒が手を差し出して来た。
「この手はなんだ?」
「繋いで。無理に道を繋いでるから、はぐれたら大変」
「………」
迷子防止?
まあ、術式をかけているのが黒と相手双方からのようだから、黒に触れていれば術式に呑まれることもないだろう。
俺は手を取った。
《……黒坊、したたか》
無炎がぽつりと言った。
……どういう意味だ?