月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
華取桃子は誰かに逢いたいようだ。
地縛霊という状態でもないから、心残りを叶えれば、昇華されるだろう。
桃子の記憶に潜り込むより、その『逢いたい』対象を見つけられたらいいんだけど、何しろ桃子の情報が少ない。
よくある名前だし、もし何十年も前の霊体だとしたら、『逢いたい』人が生きているかもわからない。
そのとき縁側から、「白桜、入っていい?」と声がかけられた。百合姫だ。
応じると、ひょこりと顔をのぞかせた。
「遅い時間だから、はちみつホットミルク作ったの。少しは休憩してね」
「ああ……ありがとう」
笑顔とともに言ってくれる百合姫。
気を張っていた分、その笑顔でふっと肩から力が抜けた。
「百合緋様がお作りなったのですよ、白桜様」
百合姫につけている天音が後ろから姿を見せて、柔らかい表情で説明してくれた。
「すまない。遅くまで起こしてしまって」