笑わないシンデレラ
「大丈夫か?」


彼女が泣きながら倉庫を去ると頭を押さえている私の元へと走り寄ってきてくれた辻くん。


「ボールぶつけられた?」


私と目線を合わせ、彼もしゃがみ込んで私の頭に手をやる。


「辻くん、ありがとう。」


今日だけは感謝だね。


「やっとしゃべってくれた!」


顔は見れないけど辻くんの声はいつもの明るい声だ。


「早瀬、いないからめっちゃ探しちゃったじゃん!」


私のことを探してたの?
じゃあ……偶然体育館に来たわけじゃないの?


「あいつが先に手出してきたの?」


彼の言葉に静かに頷く。
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