樫の木の恋(中)


翌日、軍を率いて七尾城に向かっていた。
途中手取川までの上杉家に与する所は全て焼き払いながら進んでいく。

基本織田家の方針として、嫌がらせのように街は焼いていく。それが大殿の方針だし、敵も兵糧がとれなくて困るだろう。

戦に負けたときなど、兎に角撤退しながらも町という町を焼いていくのだ。
まぁだからどんどん大殿の悪評ばかりが広がっていくのだが。

そうして七尾城の援軍に向かい、手取川を越えた辺りで兵を休ませていた。

「殿!七尾城が上杉家に攻め落とされました!」

先に偵察に向かわせていた柴田殿の所の兵が、叫びながら軍議を開いていた場に入ってくる。

その場はざわめき、軍議は揺れた。

「攻め落とされたか…。」

秀吉殿のため息にも似た声が小さく落とされる。そして皆が口々に叫ぶなか、秀吉殿は悩んでいた。



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