樫の木の恋(中)
「分かりました。伺います。」
もう一度ため息をつきながら秀吉殿は返答をした。
「ああ、ちなみに忠犬無しで頼むな?」
「なっ!駄目です!」
思わず声が出た。そんな危険な所に秀吉殿単身でなど行かせられるはずがない。
今それがしがいることで抱き締められているだけだが、それがしがいなくなったら、秀吉殿に何をすることやら。
考えただけでも苛立つ。
「ふふっ。うちの忠犬は可愛いなぁ。」
秀吉殿が柔らかく笑う。可愛らしいその笑顔に思わず拍子抜けしてしまった。
「……笑い事ではありません…。」
「すまんなぁ。半兵衛が心配してくれてるのも妬いてくれているのも、なんだか嬉しくて…。」
秀吉殿がゆっくりとそれがしの手をとり、両手で握ってくる。細い指がそれがしの手に触れる度に、胸が高鳴る。それに相まった秀吉殿の笑顔は、反則的に可愛らしかった。
「そりゃ…心配も嫉妬も…します。」
「半兵衛、好きじゃよ。」
「…っ。」
明智殿もいるのに好きと言われて、思わず顔が赤くなる。片手は秀吉殿に握られているから、咄嗟に空いている腕で赤くなってしまった顔を隠した。
しかしそれでも秀吉殿にまた笑われてしまった。