樫の木の恋(中)
「さて、お主ら。わしの今後がなぁ、今度の戦にはかかっておるんよ。分かる?手取川の件でな、今結構不味い状況なんよ?城、取り上げられちゃうかもしれんのね?」
小谷城に戻ってきた途端に、秀吉殿は家臣を集め状況を説明していた。恐ろしい雰囲気を醸し出していた先日までとは違い、柔らかい雰囲気を纏う秀吉殿に皆ほっと胸を撫で下ろしていた。
「ほんと、久秀の馬鹿のお陰で繋がった首なのね。だから、なんとしてでもわしらで城、落としたいわけよ。」
秀吉殿は皆の目の前で満面の笑みを見せた。
「と、言うわけで、お主ら期待しておるからな?」
その笑みは完全に女子の笑みで、可愛らしく皆魅了されていた。
「あーそれと!」
何故だか少し無邪気に話す秀吉殿。確実に親近感を沸かせ、皆の心を掴み戦で奮起させるためなのだろう。
「一番に勲功を上げた奴には褒美をやろう。しかも何でもよいぞ?まぁあまり高価過ぎるものはやれんが、刀でも甲冑でも、掛け軸とかでも構わん。」
更に無邪気に話を続ける秀吉殿。
「ああ!わしとの口付けとかでも良いぞ?胸を触るくらいなら構わんしなー!」
いきなり突拍子もない事を言い出す秀吉殿に皆ざわつく。
「なっ!何を仰るのですか秀吉殿!それがしが許しません!」
「そう熱くなるな半兵衛。どうせそんな奴おらんよ。というか、刀でもなんでもやると言うとるのに、あえてわしを選択する奴など逆に見てみたいわ。」
可愛らしく笑う秀吉殿にそれがしは怒りが込み上げてくる。