樫の木の恋(中)
「大殿が許してくれるって、さっき書状がきた。」
秀吉殿がにんまりと微笑む。
小谷城に帰還して数日。城を攻め落とした後も本願寺家を相手に深手を負わせたのだから、充分に戦功は上げている。
大殿が許してくれる事など目に見えていた。
それでもやはりそういう書状が来たことにより、心の底から安心したのだろう。
「此度の戦、誰が一番勲功をあげたのじゃろう?久秀は自害してしまったし、やっぱ三成か。」
三成が率いた隊が門を明け、久通を討ち取ったと報告が上がっていた。
しかも三成は昨日から自らの兵に穴を掘らせ、城の中から奇襲をし、門を開けたのだった。
その戦略は武田家などでも使われた戦法だし、秀吉殿も攻城戦の際取り入れたりしていた。
それを今回三成は自ら進言してきて、見事に成功させたのだった。
此度の戦あまり大きなものでも無かったし、それがしは今回は隊を率いていないから、このままだと三成になってしまう。
正直気が重かった。