樫の木の恋(中)




「秀吉殿、本当に…その…三成と口付けされるので?」

「まぁあれじゃな。武士に二言は無い、じゃな。まさか本当に三成になるとはなぁ。まぁ三成とは一度口付けをしてしまっているから、なんとも思わんが。」

出来ればなんとも思ってほしいのだが。嫌だと思ってほしいのだが。

今回そのように褒美を設けたのは、此度の戦が失敗の出来ないものだったからというのは分かる。
万が一失敗でもしようものなら秀吉殿に後が無かったからだ。



秀吉殿に呼ばれて、すっと入ってきた三成は、真っ先にこちらを向き笑みを向ける。
悪意のあるその笑みに、思わず厳しい顔を向ける。

「三成、一応聞くが欲しいものはないのか?」

「おや、殿。この期に及んで自らのお言葉を覆すので?」

「三成!生意気だぞ!」

それがしが声を荒らげると秀吉殿が嗜めてくる。

「いいんじゃよ半兵衛。わしは気にしておらんのじゃから。三成、わしは約束は破らんぞ。今するか?それとも後にするか?」

「今しては竹中殿に殺されかねないので、後々殿のお部屋に伺います。」

「そーか。じゃ、待っておるな。」

にっと笑う秀吉殿。
というか最近それがしと口付けしていないというのに。
軽はずみな発言をした秀吉殿に腹が立って仕方なかった。

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