恋蛍2
真っ黒でさらさらの髪の毛に、父さん譲りの黒曜石みたいにくるんと輝くまあるい瞳。
母さん譲りの色白の肌と形の整った綺麗な小ぶりの唇。
食が細く、もやしのようにひょろりとした体型の翔琉は小学1年生。
「どうしたのさ、翔琉。おいで」
10も歳が離れていると、弟というよりもう自分の子供みたいに思えてくるから、可愛くてたまらん。
「なんね? 宿題で分からんとこでもあるんか?」
オレが聞くと、翔琉は遠慮がちにドアに隠れながらふるるっと首を振った。
困ったもんさ。
翔琉は小学校に上がるまで病気がちで、その過去を気にしてか内気な性格だ。
気持ちは優しいけど気が弱く、男のくせになよっちい。
同級生の女子との口げんかにさえ勝ったことがないらしい。言い負かされてベソをかいて帰って来るなんてしょっちゅうだ。
おじい、おばあたちはもちろん、父さんも母さんも、特にオレが一番。翔琉が可愛くて可愛くて、つい甘やかしてしまうのがいけないのかもしれん。
「翔琉、どうしたのか? 言ってくれんと兄ィニィ分からんよ」
おいで、と手招きをすると、ようやくひょっこりと姿を見せて、中に入って来た翔琉がオレのそばに駆け寄って来た。
「あのさあ、兄ィニィ」
そして、蚊の鳴くような声で言った。
「お母さんがさ、兄ィニィ起こしてきてって。早く朝ごはん食べなさいってさ」
「そうかね。ありがとね、翔琉」
と、その小さな頭をぐりぐり撫でてやると、翔琉はくすぐったそうにひゃーと照れ笑いして「うん」と頷いた。
内気で気弱で軟弱だけど、誰よりも優しい心を持っておる翔琉は、オレの自慢の弟さ。
「翔琉、何時に起きよったか?」
「6時さ。もうさ、オレさ、今日のぶんの宿題できたよ」
「えらいなあ、翔琉」
翔琉と話しながら1階へ降りてリビングへ行くと、対面式のキッチンの奥で母さんが忙しなく動きまわっとった。
母さん譲りの色白の肌と形の整った綺麗な小ぶりの唇。
食が細く、もやしのようにひょろりとした体型の翔琉は小学1年生。
「どうしたのさ、翔琉。おいで」
10も歳が離れていると、弟というよりもう自分の子供みたいに思えてくるから、可愛くてたまらん。
「なんね? 宿題で分からんとこでもあるんか?」
オレが聞くと、翔琉は遠慮がちにドアに隠れながらふるるっと首を振った。
困ったもんさ。
翔琉は小学校に上がるまで病気がちで、その過去を気にしてか内気な性格だ。
気持ちは優しいけど気が弱く、男のくせになよっちい。
同級生の女子との口げんかにさえ勝ったことがないらしい。言い負かされてベソをかいて帰って来るなんてしょっちゅうだ。
おじい、おばあたちはもちろん、父さんも母さんも、特にオレが一番。翔琉が可愛くて可愛くて、つい甘やかしてしまうのがいけないのかもしれん。
「翔琉、どうしたのか? 言ってくれんと兄ィニィ分からんよ」
おいで、と手招きをすると、ようやくひょっこりと姿を見せて、中に入って来た翔琉がオレのそばに駆け寄って来た。
「あのさあ、兄ィニィ」
そして、蚊の鳴くような声で言った。
「お母さんがさ、兄ィニィ起こしてきてって。早く朝ごはん食べなさいってさ」
「そうかね。ありがとね、翔琉」
と、その小さな頭をぐりぐり撫でてやると、翔琉はくすぐったそうにひゃーと照れ笑いして「うん」と頷いた。
内気で気弱で軟弱だけど、誰よりも優しい心を持っておる翔琉は、オレの自慢の弟さ。
「翔琉、何時に起きよったか?」
「6時さ。もうさ、オレさ、今日のぶんの宿題できたよ」
「えらいなあ、翔琉」
翔琉と話しながら1階へ降りてリビングへ行くと、対面式のキッチンの奥で母さんが忙しなく動きまわっとった。