恋蛍2
食卓テーブルにはこんがりと絶妙な焼き色が付いたトーストに半熟の目玉焼き、海ブドウとレタスのサラダ、牛乳氷入りのミルクが並べて置かれている。
起き抜けで喉がカラカラだったオレは自分の席に座って、ミルクを半分一気に飲んだ。
うちはもともと牛乳を凍らせた氷をグラス半分に入れてさらに牛乳を入れて飲む。これだと氷自体が牛乳の為に溶けるとまた濃くなって冷たくてたまらんほどうまい。
ほかの家ではどうか知らんけど、比嘉家はこれが普通だ。
なんでも、母さんが若いころ北海道に住んでいた時、行きつけの店の人から教えてもらったのが始まりらしいけど。
でーじ、うまい。
半分飲み干したグラスをテーブルに置くと、その衝撃で中の白い氷がしゃりんと音を鳴らした。
「お母さん、兄ィニィ起こしてきちゃん!」
キッチンに飛び込んで行った翔琉が赤色のエプロンに飛び付くと、「ありがとう」とその頭を撫でて振り向いた母さんと目が合った。
「おはよう、結弦」
「おはよう」
「ねえ、結弦。急で悪いんだけど朝ごはん終わったら、ちょっと頼まれてくれない?」
と、キッチンからいそいそと出て来た母さんは食卓テーブルの上に八重山藍染の風呂敷を広げ、その上に3段の重箱弁当をドンと置き、手際よく包み始めた。
「これ、診療所に届けて」
「えーっ! なんでさーっ! えー! えーえーえー! 」
あからさまにウゲーとでっかい声を出すと、母さんの横でビビりの翔琉が小さな肩をびくっと弾ませた。
「だってさぁ、オレ、今日や律と約束あるんだしさあ!」
と、言っても昼頃の約束だけどね。
「診療所に行っとったら遅くなってしまうしさ! 母さんが行けばいいさ!」
ブーブー文句をたれるオレには脇目もくれず、母さんは再びキッチンへ戻り、せっせと手際よく片しながら言い返して来た。
「母さん、これから民宿に行って、おばあちゃんたちのお手伝いすることになったのよ」
とにっかく甘えん坊で母さんのことが大好きな翔琉は、金魚のフンみたいに母さんの周りをうろちょろしている。
「えー、なんでね?」
「今朝からフェリー動いてるんだって」
起き抜けで喉がカラカラだったオレは自分の席に座って、ミルクを半分一気に飲んだ。
うちはもともと牛乳を凍らせた氷をグラス半分に入れてさらに牛乳を入れて飲む。これだと氷自体が牛乳の為に溶けるとまた濃くなって冷たくてたまらんほどうまい。
ほかの家ではどうか知らんけど、比嘉家はこれが普通だ。
なんでも、母さんが若いころ北海道に住んでいた時、行きつけの店の人から教えてもらったのが始まりらしいけど。
でーじ、うまい。
半分飲み干したグラスをテーブルに置くと、その衝撃で中の白い氷がしゃりんと音を鳴らした。
「お母さん、兄ィニィ起こしてきちゃん!」
キッチンに飛び込んで行った翔琉が赤色のエプロンに飛び付くと、「ありがとう」とその頭を撫でて振り向いた母さんと目が合った。
「おはよう、結弦」
「おはよう」
「ねえ、結弦。急で悪いんだけど朝ごはん終わったら、ちょっと頼まれてくれない?」
と、キッチンからいそいそと出て来た母さんは食卓テーブルの上に八重山藍染の風呂敷を広げ、その上に3段の重箱弁当をドンと置き、手際よく包み始めた。
「これ、診療所に届けて」
「えーっ! なんでさーっ! えー! えーえーえー! 」
あからさまにウゲーとでっかい声を出すと、母さんの横でビビりの翔琉が小さな肩をびくっと弾ませた。
「だってさぁ、オレ、今日や律と約束あるんだしさあ!」
と、言っても昼頃の約束だけどね。
「診療所に行っとったら遅くなってしまうしさ! 母さんが行けばいいさ!」
ブーブー文句をたれるオレには脇目もくれず、母さんは再びキッチンへ戻り、せっせと手際よく片しながら言い返して来た。
「母さん、これから民宿に行って、おばあちゃんたちのお手伝いすることになったのよ」
とにっかく甘えん坊で母さんのことが大好きな翔琉は、金魚のフンみたいに母さんの周りをうろちょろしている。
「えー、なんでね?」
「今朝からフェリー動いてるんだって」