大好きだった先生は今日も私を起こす

先生の気持ち











卒業してから二日、
あれから毎日連絡を取り合っていた。







今日は、先生が私のバイト先へ
ランチしにくる日。





「いらっしゃいま...」



先生を見つけた瞬間、止まった。





私服を見るのは二度目。



いつもと違う姿に、ドキッとしたのを覚えてる。





「何時上がり?」



「えっと、16時くらい、です...」



緊張して敬語になる私に笑いかけて



「わかった、じゃあまたあとで」



「う、うん...?」





また後で!!!?
ど、どういうこ、と、...?






ブーッブーッ




”終わったら近くの公園にいて”




そう言われ、16時過ぎ、待っていると





「ごめんごめん、待った!?」


急ぎ足で現れた先生


前もこんなこと、あったな。




「大丈夫だよ、先生、ココアとカフェオレどっちがいい?」



「お!俺も買おうと思ってた!カフェオレー!ありがとう!」





ふたりの距離が、
心の距離がグンと縮んだ気がした。






「20歳までって、あと七ヶ月もあるね」



「すぐだろ〜」



「でも先生大人だし、出会いたくさんあるし、先生こそ待てるの?」


「卒業まで待てたんだから、待てる」


「あー、不安だなー、」


「なんだよ」


「七ヶ月もあれば、何もかも変わるよね」


泣きそうになりながら早歩きになる私を引き止め
卒業式の時と同じように抱きしめた先生が



「俺、俺も、好き、だから...」



その言葉を聞いた瞬間に涙が溢れ出した。




「ずるい...」

肩をポンポンと叩く私を見て笑う先生に


「大好きです...」


と言い、手を繋いで駅まで歩いた





あの日の夜景、感覚、全て鮮明に覚えてるよ、先生。







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