大好きだった先生は今日も私を起こす
第九章
卒業式(佐田編)
卒業式当日。
「今日で、ハンナも見納めどきか」
そう思いながら舞台に立つハンナを後ろから見ていた
「大人になったなぁ...」
こうやって、どんどん成長を見届けてくのか俺らは。
「佐田さーん」
仲の良い先生方が俺の方をニヤニヤしながら見てくる
「ハンナちゃん!卒業しましたね?」
「しましたね〜」
「しましたね??なの?いいんですか!」
この人達は、ハンナの好意に気付いてる。
そして、俺の好意にも。
「佐田さん、嫌じゃないでしょむしろその気があるよね」
「悪くはないですけど、傷つけたら許しませんよ。あの子良い子なんで。」
「わかってますよ。」
確かにハンナは良い子だ。
先生からの評判も良く、俺なんかが付き合っていいのか
「付き合うなら一年後とかどうですか?
区切りいいし、その間に彼女に好きな人ができたらそれまでってこと。
それにこんな狭い世界で生きていたんだから
社会に出ればあれは恋ではないと気付くかもしれない」
先輩が、そう言う
「そうですよね、すぐ忘れますよね...」
「でも、誰も反対しませんよ
寧ろ応援してます
しっかり見てやってくださいよ」
そう、誰も反対していなかった。