大好きだった先生は今日も私を起こす
第四章
第一印象(佐田編)
春の風、桜の香り、知らない制服、都会。
23歳、新任教師。
教育実習もしたことなく、右も左も分からないまま教壇に立った。
「初めまして。佐田駿です。今日からよろしくお願い致します」
そんな挨拶をしても、誰も聞いていない。
こんな学校で、生きていけるのか、俺。
そんな心配をよそに、ある出会いをした。
「せーんせっ」
そう俺のことを呼ぶ女子生徒。
俺を見つけると、すぐ駆け寄ってくる。
「なんだよまたいるのかよ〜」
最初は、嫌な顔をしていた俺自身だった。
でも、どんどん、彼女の存在が俺の中で大きくなっていった。
高身長で、顔が整っている。
川口春奈似で、実年齢より大人っぽく、他の生徒とは違う雰囲気。
黒く長い髪をクルクル巻いていて、クールで、キツそうな女の子。
そんな第一印象だった。