キンヨウビノヒミツ
「それにしても、金曜日の栄さんは無かったわ。
前橋君居てよかったね」
「は、はい?!」
唐突にオフモードが混じった佐伯さんに私の声は上擦った変な声を返していた。
栄さんというのは、うちの会社の営業さんの1人。
ちょっとぽっちゃりしていて、暑い時期だといつでも汗をかいてて、マンガが好きな所謂秋葉系で…ええと、なんといいますか…ちょっと残念な感じの人だ。
だけど、どうして栄さん…?
「あの…」
プルルルルル プルルルルル …
金曜日何があったんですか?と今度こそ聞こうとした私の言葉を、またしても電話が遮った。
…また、聞き損った…。
ここまで偶然に邪魔され続けると、神様が「知らないほうがいいことだよ」と言っているような気までしてくる。
ああ、気にしないと決めて会社に来たはずなのに、無理!
同じ会社に居て、気にするなって本当に無理!!
早く納品に出かけて、前橋君!