キンヨウビノヒミツ
-----


「在庫整理行ってきます」


はぁ、とため息混じりに席を立ったのは、午後の仕事が一段落ついて営業さんも出払っている午後三時。


届いた在庫を開封して、試薬ごとに棚に並べていく。


重たいエタノールの一斗缶を引きずるような気持ちで運んでいると、ふっとその重量がなくなった。


「重たいの俺がやるから、小さい試薬やってよ」


聞こえてきた声に、バックンッと心臓が跳ねた。


今日一日、一生懸命避け続けた前橋君と倉庫で2人きりになるなんて。


「あ…ありがとう」


お礼を告げて、ダンボールに入っている試薬を種類ごとに分類していく。


良く発注がある試薬は、在庫をある程度置いておく事になっているから、いつでもある程度の数揃えてあるし、確認して足りなさそうなものがあればストック分も発注をかける。


「井上、俺の事避けてる?」


なんて男らしくドストレートな質問。


避けてない、そう言えたら良いのに、あからさまに朝の休憩室、事務室、お昼と徹底的に避けていたので何も言い逃れできない。


「多分勘違いしてるぞ」


「はい?!」


勘違いって何?!


朝起きたら、ラブホテルに一緒に居たんだよ?


しかも、前橋君は少なくとも上半身は裸だったし、私も下着だけだった。


これで、何をどう勘違い…

< 12 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop